2012-01-01から1年間の記事一覧

現実主義者とリアリスト

どうにも現実主義とリアリズムという二つの表現が、一般的に違う意味を持っている気がしてならない。この定義を曖昧なままにしておくと、今後の混乱を引き起すことが必至であると思うので、ここではっきりとさせておきたい。以下の文章は、別の機会に書いた…

ウォルツ『国際政治の理論』(7)

9章 国際関係の管理 さて、名残惜しいことに、ウォルツも最終章ということで、管理についてまとめてちゃちゃっと終わりにしたいと思います。まず、パワーの効果についてウォルツは示す。即ち、1.自立の維持2.行動の幅が広がる3.どのゲームがいかにプレイされ…

ウォルツ『国際政治の理論』(6)

続いて。8章 構造的原因と軍事的影響 数が少ない方が好ましいということを7章で示した。それでは、2という数がベストであるのか。これが8章での試みである。Ⅰ 「国際政治システムが安定しているということは、2つのことを意味している。第1に、それがアナー…

ウォルツ『国際政治の理論』(5)

さらっと流したいと思っているのに、切り捨てる能力の低い僕の欠陥のせいで、いつも記事が長くなる。どうしよう。ともあれ、第7章です。 7章 構造的原因と経済的影響 本章は、大国の数が多い場合と少ない場合を比較する部分に当たる。さらっと進める。Ⅰ1.極…

ウォルツ『国際政治の理論』(4)

では次に、第六章に取り組む。一般的には、前回の五章と今回の六章は、米国の大学では必読の類に入るらしい。しかし、実はこのあたりから僕の興味は薄れていくので、どんどん密度が低くなることをご了承あれ。この後の、七八九章は、本気でさらっと流す予定…

ウォルツ『国際政治の理論』(3)

さて、第5章である。正直、個人的に最も注目した部分が、456章なので、ここは丁寧にやろうと思っている。つまり6章も長めになる。そして789章のあたりは、さらっと流してしまおうかと考えている。具体的な話が多いしね。それでは始める。第5章 政治構造 本章…

ウォルツ『国際政治の理論』(2)

前回のエントリは、ウォルツTIPの1章から3章までを扱った。主に、理論とは、とか、還元主義批判といった形而上学的(といっていいのかは解らないが)な問題についての記述を要約したのだが、以下にまとめた章は、まだまだ抽象的ながら、ではウォルツはどのよ…

ウォルツ『国際政治の理論』(1)

以下、勁草書房の『国際政治の理論』の要約+感想。1章 法則と理論(pp.1-22) ここでは主に、法則との差異を見出すことで、理論とは何かという話を、科学哲学の議論を踏まえて描いている。 理論とは、単なる相関関係や、単なる因果関係の存在の記述ではなく、…

これから数回の方針

これから数回に亙って、ケネス・ウォルツの『国際政治の理論』(The Theory of the International Politics)のサブノートを、本ブログで作成していきたいと思う。理由は手前味噌なものなのでここには記さないが、本著はこのブログにおいて何度も出てきている…

今度はコンストラクティヴィズム批判

もはや、あらゆる概念を切って捨てている感も否めないが、先日少し思うところがあったので、それについて記す。 きっかけは某米国の国際政治学者のレクチャーを受けたことにある。彼は、ある領土問題について分析をするために、リアリズム、リベラリズムで説…

リハビリ 尖閣問題について

前回のエントリから四カ月という期間が経過し、最近は漸く生活が安定してきたこともあり、ここでまた本ブログを再開したいと考えている。これには幾つかの理由があるが、最も主要なものとしては、どうにも自分の頭の働きが悪くなってきたことがある。ここの…

リアリズムとリベラリズムという分け方について 続続続

全く以て途方もなく嫌な気分に浸っている。毎週当ブログをすると書いたくせ、書かなくなってからもう二カ月が経過し、なによりその間中なんの考察もしていなかったのだからこれは嘘つきと自分を呼ばざるを得ない。とは言え、続いているものをそのまま無視し…