国際政治学 サントリー学芸賞 まとめてみる

ネタが無いので、国際政治学の著作受賞作について、まとめておく。
外交か内国政治か、経済研究か、の区別が微妙だった。独断と偏見で勝手にラベリングしている。
ひとまずサントリー学芸賞。あと、吉田茂賞、吉野作造賞もいつかチェックしたい。アジア・太平洋賞とか毎日出版文化賞石橋湛山賞はちょっといまいち。大平賞とかもあった。櫻田会奨励賞とかはロングリストが無い。


国際政治学一般】
・1982年 猪口 孝 東京大学助教授 『国際政治経済の構図』
(あの、猪口先生が新進気鋭扱いされているということが面白い。昔、図書館で読んだが、記憶にはない
選評にもある通り、議論が粗いのは昔からだったか。)
・1996年 田中 明彦 東京大学助教授 『新しい「中世」』
(明彦。ブルの新中世論を一冊に拡張した著作。かなり見通しの広い、稀少な本)
・2012年 鈴木 一人 北海道大学教授 『宇宙開発と国際政治』
(これもまた、珍しい研究。各国の宇宙開発史)


【日本外交史】
・1979年 斎藤 明 毎日新聞社政治部副部長 『転換期の安保』への寄与を中心として
(日中の国交回復の研究らしい)
・1985年 五百旗頭 真 神戸大学教授 『米国の日本占領政策
(五百旗頭先生。タイトル通りだが、やっぱり、文章が面白い)
・1987年 北岡 伸一 立教大学教授 『清沢洌
国際政治学、と言っていいかどうかは微妙だが、北岡先生なので)
・1993年 赤根谷 達雄 筑波大学専任講師 『日本のガット加入問題』
(赤根屋先生。ただ、これは読んだことない。レジーム論の専門家)
・2000年 坂元 一哉 大阪大学教授 『日米同盟の絆』
(日米同盟の成立期の研究としては、決定版か)
・2005年 宮城 大蔵 北海道大学専任講師 『戦後アジア秩序の模索と日本』
(日本外交と戦後の東南アジア。ソフトパワー論的)
・2006年 黒崎 輝 立教大学兼任講師 『核兵器と日米関係』
(面白い。核の外交史なら黒崎先生はかなり、だと思う)
・2011年 井上 正也 香川大学准教授 『日中国交正常化の政治史』
(大著も大著。すごい。吉田茂賞も受賞)
・2012年 井口 治夫 名古屋大学教授 『鮎川義介と経済的国際主義』
(戦前から戦後初頭について。読んでない。どうでもいいが、思った以上に井口先生ってまだ若い)
・2013年 中島 琢磨 龍谷大学准教授 『沖縄返還日米安保体制』
(力作も力作、すごい)


【米国外交】
・1988年 関場 誓子 ボストン総領事館領事 『超大国回転木馬
(米ソ核交渉、軍縮について、らしい。全く知らない)
・1999年 村田 晃嗣 広島大学助教授 『大統領の挫折
(カーター政権、在韓米軍撤退。ムラタコ先生、広島大にいたのか)
・2001年 田所 昌幸 防衛大学校教授 『「アメリカ」を超えたドル』
(田所先生の戦後通貨(ドル)外交史。手堅い)


【中国/台湾政治・外交】
・1981年 中嶋 嶺雄 東京外国語大学教授 『北京烈烈』
文革とかの中国研究らしい。新書書いてたひと)
・1997年 若林 正丈 東京大学教授 『蒋経国李登輝』を中心として
(台湾研究らしい)
・2003年 津上 俊哉 独立行政法人経済産業研究所上席研究員 『中国台頭』
(知りませんでした)
・2004年 川島 真 北海道大学助教授 『中国近代外交の形成』
(20世紀初頭の中国外交の分析、というのは、きっと凄いのだろうと思う。分からないが)
・2004年 国分 良成 慶應義塾大学教授 『現代中国の政治と官僚制』を中心として
(川島先生よりも、より現代的で、より政治的)
・2010年 倉田 徹 金沢大学准教授 『中国返還後の香港』
(当然、手つかず)


【地域研究】
・1992年 白石 隆 コーネル大学准教授 『インドネシア 国家と政治』
(ひっ、読んだこと無かった)
・2002年 細谷 雄一 敬愛大学専任講師 『戦後国際秩序とイギリス外交』
(戦後すぐのイギリス外交史。今をときめく細谷先生。文章が上手い)
・2003年 木村 幹 神戸大学助教授 『韓国における「権威主義的」体制の成立』
(もうちょっと韓国・朝鮮の研究にも目を通そうかな、と感じている今日この頃)
・2005年 岡本 隆司 京都府立大学助教授 『属国と自主のあいだ』
(恥ずかしながら知らなった。19世紀の朝鮮研究)
・2009年 武内 進一 国際協力機構JICA研究所上席研究員 『現代アフリカの紛争と国家』
(読んでないが、ルワンダのジェノサイド本)
・2014年 大西 裕 神戸大学教授 『先進国・韓国の憂鬱』
(未読)


【感想】
・米国外交研究が少ないのはある程度想像通り。日本に研究者自体が少ない。
・ヨーロッパ研究の少なさは逆に意外。こんなに多いし質も高いのに。冷戦史はかなりのものだと思うが、不思議。
・研究者で受賞している人は、大成している確率も高い。ジャーナリストは印象が薄い。
・日本外交史家が多いのは、まあ当然だろう。メンツもかなりのもの。
・中国研究の多さは少し意外。そんなにいたっけ。
・個人的には、中国・韓国研究って全然視野の外にあったなあ、という感じ。